6月25日(土)〜 7月18日(月)まで、岐阜県瑞浪市の陶芸家 Tetsuya Hioki(日置 哲也)のエキシビジョンを開催致します。
岐阜県瑞浪市のカネ利陶料で粘土屋として働く傍ら、自身も陶芸家として活動する日置哲也。
大学を卒業後、多治見工業高校陶磁科学芸術科にて陶芸を学び、土岐市にある窯元への弟子入り。
その後、粘土を製造・販売するカネ利陶料で働きはじめます。
それまで陶芸を行う上で当たり前に渡されるものだった「粘土」。その元となる「原土」や選別方法、調合などの製造工程に触れる中で、土そのものが持つ奥深さに感銘を受けた彼は、次第に「土」という素材に対する探究心を持ち始めます。
「粘土屋」と「土」との関わり方を模索するうちに「自分で触ってみなければ、使う人たちに説明できない」と、自らの手で土を触り焼成し始めたことから、彼の現在の作品はスタートしました。
早朝から晩までの土仕事が終わると、一人アトリエにこもり、誰に向けてでもなく実験を重ね、自身が好きだと思えるものを作る。自分が感じたことを大切に、粘土と向き合いながら、作り手の橋渡しになれるべく土のあらゆる可能性・表情を模索する作業を続けます。
こうして10年もの間、世間に発表することもなく続けた実験と創作の時間は、自分をリフレッシュする時間でもあることに気がつき、それを長い間やってきました。
創作活動を支える粘土があり、原料がある。
山があり、その地域に根付いた歴史があって、地球がある。
日本人は、本来 土いじりが好きな民族性です。縄文・弥生時代から、土を触って物を作ってきた私たちは、原体験として「土」とのとても深い関わりがあるように感じます。そして日本で最も多様な「土」の産地である美濃という場所で、粘土屋として働いた経験が今の作家としての作品につながっています。
創作を「続けること」 その行為が作家であると感じています。
日置 哲也
KANERI TOURYO とのコラボレーション
発表の機会をもたないまま、10年に渡って蓄えられた作品群は、2018年の東京での展示会とともに注目を集めました。 日置作品は、素材そのものが持つ性質はもちろんのこと、彼自身の想いが表情として現れるような、さまざまな顔付きを私たちに見せてくれます。
今回stoopでは、彼が日々勉強と研究を行う過程で生み出した美しいテクスチャー、土のもつ魅力を最大限感じていただくために、これまで以上にミニマルな形状として展開された100を超える作品を展示・販売いたします。
そのシンプルな形体の中に豊かな表情を持つ日置作品と、ヴィンテージ家具とをスタイリングして見せることで、その魅力をより一層感じていただけるような空間づくりを目指しています。
また、今回の展示に際して、KANERI TOURYO とのコラボレーションによって生まれた stoop 初となるプロダクトの発表も予定しています。
粘土屋としての素材の探求、陶芸家としての製作の継続、その2点が交わったことで生まれた独自の作品群。
それらを通し見えてくる彼のこれまでの探求と継続の軌跡を、是非ご覧ください。