Cinderella Folding Chair（シンデレラチェア）｜フランスと日本のアイデンティティを融合し産まれた、独創的な折りたたみ椅子

Cinderella Folding Chair（シンデレラチェア）　|　フランスと日本のアイデンティティが融合し産まれた、独創的な折りたたみ椅子。

世界中で6万脚以上販売されたシンデレラチェアは、フランス人と日本人のデザインユニットによって1986年に生み出されました。デザイナーは、Agnès & Hiroyuki Yamakado（アグネス & ヒロユキ・ヤマカド)。

「決して広くないフランス・日本の住宅でもデザインを楽しんで欲しい」という二人の想い。フランスと日本、異なる背景を持つ二人は、お互いの美意識を重ね合わせ、美しさと機能性を兼ね備えた、それまでに無かった折りたたみチェアを生み出します。

その革新性は、フランス国内のみならず、海外での評価も得ながら、フランスやヨーロッパを中心にあらゆるメディアで取り上げられます。1980年代後半からは日本での取扱が始まり、レストランなどの商業空間で取り扱われるようにもなりました。

フランスのファッションデザイナーであるPierre Cardin（ピエール・カルダン）が作品集に掲載していたことからも高いデザイン性とプロダクトに対しての評価が伺えます。

クールな印象のクロームパイプと人工レザー。その優美な曲線と直線は、座る人の輪郭を引き立てながら、快適な座り心地を実現しています。

背もたれの湾曲したラインは、私達の身体に沿うように包み込み、円形の座面と緩やかな放物線を描くクロームの脚部は、デザイナーの細部への拘りを感じさせます。

クロームパイプとレザーによるスタイリッシュなデザインは、洗練されたモダンな空間を演出し、あらゆる角度からの視点に耐えうる彫刻的な美しさが空間の中で存在感を示します。

折り畳み・スタッキングどちらも可能でありながら、女性が一人でも持ち運べる程の軽さを兼ね備えたこのチェアは、収納がしやすく、空間を有効に活用することを可能にします。

店舗やオフィス・大人数を招く場面を想定して脚数を揃えながら、少人数の際には折りたたんで収納するなど、シーンに応じた柔軟性を持ち合わせています。

また、折り畳んで壁に立てかけることで、ポストモダンを象徴するかのような美しい円が浮かび上がり、空間に彩りを与えてくれます。

デザインされた当時のポストモダンスタイルの家具はもちろん、フローリングやタイルやカーペットなどとも相性が良いため、空間のアクセントとしても機能します。

YAMAKADO のデザインを手がけた、アグネスとヒロユキのデザイン哲学は、相反するもの、クリーンなライン、機能性、モジュール性、革新性の融合であり、この CINDERELLA（シンデレラチェア）に色濃く反映されています。

ユニークで斬新なフォルムとポストモダン期のデザイン性、緊張感を持った美しいシルエットを保ちながら、スタッキング・折りたたみが可能な機能性を両立するこの一脚は、まさに二人の哲学が集約された、当時の折りたたみ椅子の概念を大きく変えるものでした。

※写真は当時のフランスの雑誌の特集より

彼らのデザイン哲学を反映し、折りたたみ椅子の歴史において、新たな価値を示したこの美しいチェアは、世代を超えて後世に受け継ぐべき YAMAKADO の思想が込められているのです。