時代の変化を捉えながら、クオリティーと伝統をそのままに。
当時の 4 MARIANI 社は、クラシックなマーケットの需要に沿うような良質で頑丈なアームチェアやソファに製造を留めていましたが、徐々にデザインやトレンドの素材を使用したものづくりへと変化していきます。
新しい素材を使うということは、布や革で覆われたインテリアを考案、製作する上で、革新的な発想をもたらします。
徐々にマーケットでは、従来の家具と彫刻との間に位置するようなプロダクトが現れ始めました。
Guido Faleschini(グイド・ファレスキーニ)は、いち早くこのトレンドを察知し、自身のデザインへ反映しました。
兄弟の一人である Umberto(ウンベルト)は、当時の様子をこのように振り返っています。
「Guido Faleschini は素晴らしい建築家だった。美しいインテリアをデザインするだけでなく、その特異なデザインで人々を驚かせ、生産工程にまつわる事情にも理解があった。彼は一緒に働きやすく、彼が描くドローイングや形を機能的なインテリアへと落とし込む過程で関わる人たちともスムーズに仕事ができた。」
こうして生まれたデザイナーと兄弟たちの良好な関係は、その後も長きにわたって信頼関係を深めながら、MARIANI 社の発展の原動力となっていきます。
4人の志し、美しいデザイン、上質な素材、クラフトマンシップの融合。
それらは時代を越えて、現在へと繋がっていく。
経済が落ち込み、社会が変わる中でも TUCROMA Chair は売れ続け、「毎月ニューヨーク行きのコンテナは私たちのチェアでいっぱいだった」と兄弟の一人である Biagio(ビリジオ)は振り返ります。
やがて TUCROMA という名称は、チェア以外にも優雅なシェーズ・ロング、ベッドと引き出し付きのチェストから成るインテリアのラインナップにも採用されました。
現在へと受け継がれる4人の意思、当時から続く珠玉のラグジュアリーコレクション。
TUCROMA は、全てに上質なレザーを用いて、細部にいたるまでブランドの世界観を意識したハイエンドなコレクションを展開し、世界中から支持を集め続けました。
4人の兄弟が興した MARIANI 社は、この TUCROMA コレクションを通じて世界中の人々を魅了し、それは現在の会社へと発展を遂げる過程で、大きな礎となります。
そして、この美しいプロダクト群は、兄弟たちの意思を継いだ MARIANI 一族の運営の元で、当時から変わらないデザイン・素材・職人への敬意を保ちながら、彼らの持つ工場の職人たちの手によって現在でも生産を続けているのです。