3|絶え間ない観察と実践から成 る恒久的なものづくりの姿勢。
Sottsass が生涯に渡って残した何千ものドローイングから、陶器職人が粘土の塊を成形する様子を注意深く観察していたことが窺えます。
Sottsass 自身が直接陶器に触れずとも、紙に花瓶のアウトラインを描くだけで、即座に修正、応用が効き、何年も続くコレクションデザインの数々へと発展していきました。
Sottsass が生涯に渡って残した何千ものドローイングから、陶器職人が粘土の塊を成形する様子を注意深く観察していたことが窺えます。
Sottsass 自身が直接陶器に触れずとも、紙に花瓶のアウトラインを描くだけで、即座に修正、応用が効き、何年も続くコレクションデザインの数々へと発展していきました。
建築家の彼にとって建築は、光と生命力で満ち溢れており、繊細で柔らかな構造、木、砂、古いキャンバス生地、陶器といったシンプルな素材を使うことが重要でした。時折、古いキャンバス生地に絵を描き、抽象的な模様の創作活動にも力を注ぎました。活力と創作意欲の高みに達していた当時37歳の Sottsass にとって、独特の粘り気と可塑性を持ち、職人の手で自由自在に形を変えていく粘土はとても魅力的な素材でした。
陶器製作は初めての試みでしたが、トレーシングペーパーのヘッダーに “ Ettore Sottsass Jr(エットレ・ソットサス・ジュニア)” と記し、全ての花瓶、灰皿、オブジェを丁寧に描いた上で、サイズと日付を控えるという極めて正確な仕事ぶりを見せます。
2021年、工場創立100周年を記念してモンテルーポ・フィオレンティーノの本社内に Bitossi Museum Archive(ビトッシ・ミュージアム・アーカイブ)が誕生しました。2000平方メートル以上のスペースに石膏模型や型枠、作業道具、写真資料など Bitossi の全アーカイブが展示されています。
すべての新しいコレクションにはディテールが存在し、新しい作品と過去の作品を結びつける共通の糸のようなものがあります。Bitossiとコラボレーションを行うデザイナーたちは、新しいプロジェクトのアイディアを思いつく前にこのアーカイブを訪れます。
様々な種類の粘土がどのように使われていたか、テクスチャーを表現するための技術とその可能性、過去作品のフォルムや機能からインスピレーションを得ることで、Bitossi の歴史を受け入れます。このリサーチを通じて、デザイナーは特定のディテールに惹かれ、特定の美的、技術的、形式的な側面と自分自身を結びつけることで作品開発の出発点となるのです。
色彩豊かなギャラリーは、年代や種類ごとに並べられ、歴史的なアーティスティックディレクターである Aldo Londi(アルド・ロンディ)や Ettore Sottsass(エットレ・ソットサス)の代表作トーテムシリーズを含めた7000以上のユニークな陶器群が訪れた人たちを没入的な空間へと誘います。ミュージアムは、Bitossi の創造性を証明し、これからも続いていく新しいアイデアの礎となる場所なのです。