2|日常的な自然風景と幾何学の調和から生まれる独自のデザイン。
Elio Martinelli(エリオ・マルティネリ)は、よく窓の外を眺めながら、ツバメの柔らかな飛行模様、蛇のしなやかな曲線、触れることのできない雲の白さから着想を得て照明をデザインしました。海に対しても情熱を持っており、気乗りしない妻 Anna(アンナ)を説得してよくボートに乗っていました。
Elio Martinelli(エリオ・マルティネリ)は、よく窓の外を眺めながら、ツバメの柔らかな飛行模様、蛇のしなやかな曲線、触れることのできない雲の白さから着想を得て照明をデザインしました。海に対しても情熱を持っており、気乗りしない妻 Anna(アンナ)を説得してよくボートに乗っていました。
有機的なフォルムを再現した後、それを何度も修正し、当時の最新技術を駆使して照明ランプへと仕上げます。黎明期から直感的でシンプルであることを重視し、幾何学と様々な表情を見せる自然、そしてメタクリル樹脂のような新素材の研究と実験の積み重ねによって照明のあらゆる進化の可能性を探りました。
その作品は、フォルムの幾何学性を最大限に高めながら、球形や丸みを帯びた緩やかな曲線によって情緒的で豊かな印象を与えます。
1965年に発表された “Serpente(セルペンティ)” は、現在もMartinelli Luce のカタログにオリジナルが掲載されています。中央のピンで回転するアームの動きによって生まれる幾何学的なフォルムやダイナミズム、数多くの試作品を経て辿り着いた曲線形状のデザインは、当時市場に出回っていた他の照明とは一線を画すものでした。
同年、“Poltronova(ポルトノヴァ)” の創設者である Sergio Camili(セルジオ・カミーリ)の紹介で Gae Aulenti(ガエ・アウレンティ)と出会い、“Pipistrello(ピピストレッロ)” が生まれます。
この照明は、伸縮自在のシャフトやコウモリの翼のようなディフューザー部分が複雑で量産化が難しかったにも関わらず、1967年の一般流通では世界中で商業的な成功を納めます。
1968年にデザインされた “Cobra(コブラ)” は、しなやかでエレガントな印象を保ちながら、ピンの上で回転する半開放型の球体は音楽によって催眠術をかけられながら今にも飛びかかろうとするコブラの佇まいを思わせます。
プラスチックは人々の日常生活へと浸透し、Serpente(セルペンティ)のような照明をリビングルームに置くことは現代的なライフスタイルを創造することへと繋がりました。また、彼は自然な白色を選択することで、家の中に光を当てるだけでなく、光が消えている間も人々の心に明かりを灯すことを心掛けていました。
1976年には “Elmetto(エルメット)” を発表します。半球体のディフューザーと支柱とのシンプルな連結部分は、その名の通り軍帽を連想させます。
この頃から Elio にとって形は機能性に結びつくだけでなく、物語性を伴う必要がありました。この小型のテーブルランプは、暗闇でも点灯しやすい本体中央部のスイッチや、指一本で簡単に調節できるリフレクターなどユニークなフォルムと機能性を両立させています。
Gae Aulenti(ガエ・アウレンティ)以外にも、Sergio Asti(セルジオ・アスティ)、Richard Neutra(リチャード・ノイトラ)、Studio Orlandini(スタジオ・オルランディーニ)、Marc Sadler(マーク・サドラー)、Luc Ramael(リュック・ラマエル)、Studio Lucchi & Biserni(スタジオ・ルッキ&ビゼルニ)、Angelo Micheli(アンジェロ・ミケーリ)といった名だたるデザイナーやデザインスタジオとのコラボレーションを通じて、照明における独自の光の解釈を広げてきました。
また、ミラノ出身のLella & Massimo Vignelli(レッラ&マッシモ・ヴィネッリ)による4つの異なる大理石(白カララ大理石、黒マルキーニャ大理石、トラヴェルティーノ大理石、エンペラドールダーク大理石)の土台に透明なガラス板がついた “METAFORA(メタフォラ)” は、遊び心のあるモダンなテーブルとしてタイムレスな人気を誇ります。